当該対価と時価の差額のうち実質的に贈与と認められる金額は、寄附金となります。これを受ける法人でも、当該金額が受贈益に含まれることになります。
1.寄附金の範囲
法人税法上、寄附金とは、寄附金、拠出金、見舞金その他のいずれの名義を問わず、金銭その他の資産の贈与又は経済的利益の無償の供与等のことで、贈与又は供与時の時価が寄附金の額とされます。ただし、広告宣伝費・交際費・福利厚生費等とされるべき一定の支出は、除外されることになります(法人税法第37条第7項)。
無償の場合だけでなく、資産を時価より低い対価で譲渡する場合や、経済的利益を時価より低い対価で供与する場合についても、当該対価と時価の差額が寄附金の額に含まれるとされています(法人税法第37条第8項)。
2.低額譲渡と寄附金・受贈益との関係
内国法人が資産の譲渡又は経済的な利益の供与をして、その譲渡等の対価がそのときの時価と比較して低いときは、当該対価と時価の差額のうち実質的に贈与又は無償の供与と認められる金額は、上記の通り寄附金とされます。このほか、これを受ける法人でも、当該金額が受贈益に含まれることになります(法人税法第25条の2第3項)。
3.低額譲渡の場合における寄附金及び受贈益の取り扱い
法人による完全支配関係のある法人間の譲渡等について、対価と時価の差額のうち実質的に贈与等と認められる差額があるならば、譲渡法人においては寄附金として当該差額全額が損益不算入となり、譲受法人においては受贈益として全額が益金不算入となります(法人税法第25条の2第1項・第37条第2項)。低額譲渡の場合でも、通常の寄附金の場合と同様の取り扱いとなります。
4.譲渡資産等が譲渡損益調整資産に当てはまる場合の取り扱い
ただし、譲渡等の対象となる資産等が「譲渡損益調整資産」に当てはまるなら、譲渡法人での取り扱いが違いますので、注意しましょう。
譲渡資産の帳簿価額と時価との差額は、譲渡法人で譲渡損益とされますが、譲渡資産が譲渡損益調整資産に当てはまるなら、譲渡利益相当額を損金算入又は益金算入し繰り延べます(法人税法第61条の13)。