譲渡法人は、譲渡後遅滞なく、譲受法人に次の事項を通知しなければなりません。
・譲渡した資産が「譲渡損益調整資産」に該当する旨
・減価償却による譲渡損益調整額の損益計上に際しては簡便法を採用する場合には、その旨
譲渡損益調整資産の譲渡に係る課税繰延の制度は、納税義務の異なる法人の間で、取引を行った後、繰り延べていた譲渡損益の計上事由が発生した旨の情報が提供されることで初めて成り立つ制度です。それゆえ、この情報提供を確保するために、通知義務が定められています。
具体的には、譲受法人は、譲渡損益調整資産について、繰り延べていた譲渡損益を計上することとなる事由が発生したとき、その旨及びその発生した日を、その事由が発生した事業年度終了後遅滞なく、その譲渡損益調整資産の譲渡法人に通知する義務があります(法人税法施行令第122条の14第17項)。
そして、譲渡損益の計上事由が生じたときのほか、グループ会社に譲渡損益調整資産を譲渡した時点でも、譲渡法人・譲受法人の双方に一定の内容を通知する義務があります(法人税法施行令第122条の14第15項・同条第16項)。具体的には、次の通り規定されています。
譲渡法人は、譲渡後遅滞なく、譲受法人に次の事項を通知しなければなりません(法人税法施行令第122条の14第15項)。
・譲渡した資産が「譲渡損益調整資産」に該当する旨
・減価償却による譲渡損益調整額の損益計上に際しては簡便法を採用する場合には、その旨
ただし、譲渡損益調整資産から除かれる売買目的有価証券及び譲渡直前の帳簿価額が1,000万円に満たない資産については、通知の必要はありません。
一方、譲受法人は、譲渡法人からの通知を受けた後遅滞なく、譲渡法人に次の事項を通知しなければなりません(法人税法施行令第122条の14第16項)。
・譲渡損益調整資産が譲受法人において売買目的有価証券に該当する場合には、その旨
・譲渡損益調整資産について、譲受法人において減価償却資産又は繰延資産(税法上の繰延資産に限ります)に該当する場合に、簡便法の適用を受けようとする旨の通知を受けたときは、その資産に適用する耐用年数又はその資産の支出の効果の及ぶ期間
なお、譲渡法人が適格合併により解散した場合は、合併法人に通知しなければならない旨が規定されています。
通知は、譲渡法人と譲受法人との間で、任意の方法により行うこととなります。